他人に踏み込むことも踏み込まれることも臆病な著者が、密かに抱え続けてきた想いがもの書きになること。他者とのディスコミュニケーションや誰かに向き合って共感したり傷ついたことを綴って2018年に
自費出版で発表した著者の原点的エッセイ集を大幅に加筆修正した最新決定版。
「家族にも友人にも本音を言うのが苦手だった。何年生きても薄い関係しか築けないのが、ずっとコンプレックスだった。自分を晒すことにどうしても抵抗があり、踏み込むのも踏み込まれるのも躊躇した。そうやって生きてきたから、誰かの友情や愛情を目の当たりにすると、決まって後ろめたい気持ちになった。冷めたふりして飄々と生きているつもりだったけれど、本当はものすごく寂しかった」(本文より)
目次-----
ひかりのうた
忘れる練習
何が
天使の背中
スリムなわたしのかわいい骨
花の墓標
リノちゃん
愚かな
祝福
ディズニーランドのホテルのロビーで
ファストフードに駆ける
豚ロースを隠す
わたしと(の)料理
素うどんとハーゲンダッツ
笛を落とす
吸収と放出(一)
占いなんかで
吸収と放出(二)
寿司とビール
吸収と放出(三)
春だった
吸収と放出(四)
確かに恋だった
白いレースのひらひらの
金星
加速し続ける
◎僕のマリ (ボクノマリ)
文筆家。一九九二年、福岡県生まれ。著書に『常識のない喫茶店』『書きたい生活』(ともに柏書房)『まばゆい』(本屋lighthouse)がある。また、自主制作の日記本も発行している。
四六判変型判 224pages
2023.06.02