宮沢賢治と交流しその才能を認められながらも、昭和7年6月に不慮の事故によって31才でなくなった仙台出身の詩人・石川善助の詩集を、北海道のあるきみ屋さんが没後90年にあたる2022年の命日に復刻。
善助は、仙台市の国分町の商家に生まれ、高校時代から詩作をはじめ、卒業後、いくつかの職を転々としながら、同人誌を発行したり、地元仙台の口誦民話の採録や方言の蒐集を行い、童謡や童話も創作しました。その間、叔母が嫁いだ乗船鯨加工場(釜石)で一ヶ月ほど過ごし、捕鯨船にも乗船した経験と日頃の民話研究が、彼の詩に北方の自然や原始世界を夢想するロマン的傾向を与えています。
昭和3年、27才で上京し、出版業に携わりながら小森 盛、高村光太郎、草野心平、尾崎喜八、宍戸儀一、尾形亀之助、佐藤惣之助らと交流。
昭和7年6月27日、大森駅近くで不慮の事故で亡くなり、生前、作品集がなかった善助の追悼のため、友人たちの手により死後4年を経て、詩集『亜寒帯』が発行されました。
(資金難などで発行までに4年の歳月がかかった経緯は、あとがきなどをご覧ください)
死後、地元の友人が編集・発行した随筆集『 鴉射亭随筆 』に寄稿された宮沢賢治の「石川善助に」を収録。また編者による、善助と賢治の文学を通した交流、善助とその居候先である草野心平との関係に触れた解説つき。
文庫158pages あるきみ屋
2022.6.27
2022.10.01 第三刷
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改訂版では、巻末の注を脚注に変更し解読しやすくしたほか、解説の一部を差し替え装丁もオリジナルに近いデザインになりました。