ハードコア写真家山中学が25年間にわたり撮影した「阿羅漢」「不浄観」「羯諦」「童子」「浄土」「無空 茫々然」という6つのシリーズから108点を収録した写真集です。
1959年、尼崎生まれの山中は、23才で上京。広告写真家を目指すが、ほどなく、自身の作品世界に没入し、
89年に東京の路上生活者のポートレートシリーズ「阿羅漢」で作家デビュー。
続いて、動物の死骸が風化してゆく途中を記録した「不浄観」、全身に皺を刻んだ全裸老女の全身像を集めた「羯諦」
東南アジアの貧しくも生命感あふれる子供たちの写した「童子」、奇形の人々の身体に着目した「浄土」
人の姿にならんとする胎児の静物写真「無空 茫々然」と問題作を発表します。
そのモチーフやテーマが一般社会の倫理の枠外にあるために、日本で紹介される事は殆どありませんでしたが
一辺が180cmほどもあるオリジナルのモノクロプリントは、生命が持つ"強さ”と同時に“儚さ”や“美しさ”を写し出し、
アメリカ、ヨーロッパ、南米各地で展示されてきました。
今回、その作品群がベスト集成の形で日本ではじめて書籍となりました。
序文では、カンザス大学で日本美術史の教鞭を執るパトリシア・J・グラハム博士が、
キーワードにもなっているタイトルを解題しながら、見てゆきます。
また、各シリーズの冒頭では作家自らが説明も加えています。
巻末に、これまでの活動を一覧出来る、Biographyが付いています。全文日英対訳つき。
250mm*250mm 140P 並製函入 モノクロ・ダブルトーン印刷。
阿羅漢
不浄観
無空