電鉄会社で車掌として働く青年、井上重義は、書店で斎藤良輔「日本の郷土玩具」を
手にしたのをきっかけに、77年より、非番や休日を利用して、
消え行く各地の郷土玩具を収集、自宅の一部に展示スペースまで作ってしまった。
コレクションは増え、サラリーマンが作った異例の私設博物館として話題になり、
ついに、
「日本玩具博物館」と改称し、来場者の期待に応え、学芸員を迎え活動を本格化。
現在では世界160カ国、3万点を越える世界の民芸玩具コレクションへと成長した。
本書は同館の学芸員・尾崎織女が、コレクションの中から
味わい深い玩具や装飾品などを選び、
美しい写真とともにその誕生背景や成り立ちを紹介したもの。
木、土、木の実、麦わら、ヤシの葉、ヒョウタン、紙……
身近なものを使った多様な表現を通して、世界の造形文化を旅します。
メキシコの陶芸の村で作られたアヒルの貯金箱、
イヌイットの作った骨のけん玉、
東欧や北欧の国々に伝承される翼を広げた木製の鳥。
時代に取り残され、消滅しようとしている民衆芸術に光を当てます。
民芸玩具に関するエッセイも収録。
企画・デザインはCOCHAEの軸原ヨウスケ。
カバーをはずした表紙、目次、読者カード、どれも民芸テイストで愛らしい。
B5判変型糸かがり上製 160pages