3.11以降、原発や放射能に関する本がたくさん出ていますね。この作品集の巻頭2本もまた、取材に基づいた原発ジプシーの実態を描いたものですが、初出は80年代にまでさかのぼります。
作者の勝又進は、郷里東北(石巻出身)の土俗的な生活と人々を描き、2006年に日本漫画家協会賞・大賞を受賞する一方で、東京教育大学大学院で原子核物理を学んだことから、早くに原発の危険性に気づき、福島第一、第二原発をはじめとする各地の原発を取材し、「原発はなぜこわいか」「脱原発のエネルギー計画」(いずれも高文研)の挿絵を担当するなど、一貫してこの問題に取組んできました。この作品集は、そうした原発もの2本のほかにも、土俗的作品、私マンガ的作品と、それぞれ異なる傾向の作品を収録し、2007年に他界した勝又進の軌跡を追う構成になっています。
収録作品:「深海魚」 「デビルフィッシュ(蛸)」 「かっぱ郎」 「半兵衛」 「わら草紙」 「木の葉経」 「冬の虫」 「冬の海」 「春の霊」 巻末:収録作品解題=編集部/解説=阿部幸弘
※なお本作品をお求めのお客様に、ショップ特典として「勝又進“脱原発”四コマ集」をさしあげます! 婦人民主新聞に掲載された作品ですが、警官に分断されながらのデモ、国の安全宣言、チェルノブイリ後の牛乳への不安など、原発をめぐって現在と変らない事、変った事がリアルに伝わってきます。反原発運動をした人たちの事、そして今後の原発とのつきあい方を考えさせられる小冊子です。
A6判32P アンカット製本