疲れて寝ようとする前に、一服しようとした便所ネズミははじめてのベッドに寝転がり、使ったことのない枕を腹の下に煙草を吸うのだったが、時すでに遅く、背後で消し忘れた火種が引火して炎となっていた。瞬く間に家は焼け落ちた…。
　わずか7才にして、ゴミ箱を漁り、路上で寝ることになった便所ネズミ。しかし、ついには病気になり、肉屋の前に倒れてしまった。店先で汚い小僧に寝込まれた主は，怒り、容赦なく便所ネズミの顔面を蹴りつけ、ショーウインドウに叩き付け、割れたガラス代を弁償すべく働けという。便所ネズミは怒り、ついに魔女のトラウマが甦り、猛反撃に出る。１日がかりの死闘空しく、便所ネズミは労働を強いられるが、病気で満足に立つことすらできずに、肉屋の金を持って逃亡、病院でつかの間、体を癒すのであった。しかし、肉屋は警察に通報したため、彼は再び捕まり、あの裁判長からついに3年の刑を言い渡された。しかし、寝床や日々の食事が保証されたことでほっとしたのであった。
　3年後、なお監獄にとどまりたがる便所ネズミを、監視係は下着一枚で娑婆に放り出す。便所ネズミ11才　1916年のことである。
　さて、この話のナレーター、成人した便所ネズミは、彼の半生に耳を傾ける聴衆の質問に答えて話続ける。
　監獄に戻れないことに失望した便所ネズミは、夫と道を歩いている婦人にチカン行為を試みた。路上で思いっきり彼女のズボンを引き下げたが、怒った夫は、警察を呼ぶより、即座に完膚なきまでに便所ネズミを打ちのめすことを選んだ。異常な剣幕の夫に再び魔女の顔が思い浮かび，猛攻を開始した便所ネズミは夫を撃退する。その勢いから彼は、居合わせた兵士をからかい、挑発し、大逃亡劇を引き起こしてしまう
17×24センチ　50P