リサとエリックはアーティストの道を選んだ香港に暮らす20代の兄妹。
リサはバイトをしながら学校に通い、自身のスタイルを確立しよう奮闘中、新進気鋭の画家として注目される兄エリックは商業的成功を視野に画廊での展示に取り組んでいます。兄妹仲はいいものの、同じ街の同じ業界でアーティストとして活動するリサは、"エリックの妹"として認知される何者でもない自分に不安を抱き、一方でエリックも画家としてブレークスルーすることを目指してもがいていました。
互いに気遣い合いながらも、兄に対するコンプレックスを兄に打ち明けるわこともできず、エリックの苦悩をそばで見守るだけのリサ。
家族、兄妹、アーティスト仲間や業界人が互いに不安や問題を心の底に抱え、分かちあえないまま、兄妹は突然の悲劇に見舞われます。
はたして悲劇の後に救いはあるのでしょうか? そしてリサはエリックの妹という脇役を脱して自分の人生を生きることができるのでしょうか…?
香港のアーティストKaitlin Chanがアーティストとして活動する中で感じたり考えたことをベースにネットに連載した作品をまとめた初グラフィックノベル本。兄妹の個人的な物語でいて、彼らは特別なメッセージを発すこともないけれど、美術業界がスター(天才画家)を求めぎる問題、売るための基準やプロセルに対する疑問、zineなどの自主制作の意義、アーティストに対するケア、東西の多様な人種・国の人が暮らす香港らしい性別・世代・人種などの階層問題、大きな事件や喪失の後のケアや対処法など、さまざまな疑問や問題が提起されています。大きなムーブメントと社会の変化や分裂を体験した香港から発せられた作品としても注目の作品です。
16 x 22.5 cm 164pages
2023.11.18
著者Katlin Chanの作品に関するインタビュー(アーティストのサイトに飛びます)
>>>>>