戦前の文学作品を、初出の表記やデザインに忠実に復刻する、北海道のあるきみ屋さんの第3弾は、宮澤賢治の童話「グスコーブドリの傳記」。
志を同じくする者たちの間では高く評価されながらも、生前はほとんどの作品を公表することなく無名のまま37才で亡くなった賢治の、存命中に雑誌「児童文学」に掲載された作品。
佐藤一英による「児童文学」は、1931年に創刊され、わずか2号で終刊を迎えてしまいましたが、宮沢賢治の「北守将軍と三人兄弟の医者」「グスコーブドリの伝記」の2つの童話を掲載したことで大きな役割を果たしました。そして、佐藤に賢治を推したのは、仙台出身の詩人・
石川善助でした。
このあたりの経緯は編者によるあとがきに詳しく書かれていますので、ぜひそちらもご覧ください。
本書は1984年にアリス舘が復刻した「児童文学」を元に復刻され、棟方志功による挿絵もそのまま収録されています。
A5判66pagers
別冊資料の小冊子 A6判8pagesつき
2022.10.20 あるきみ屋