オリンピックなんて、どうせ「昭和の日本を取り戻せ」と言わんばかりに、
古い日本の体制を温存するべくお金がじゃぶじゃぶ使われるだけなんでしょ――と、冷めた風潮に対して
それでも6年後にやってくるオリンピックを前に水面下で、オリンピックを中心に動きはじめた
日本経済、地方と中央の政治、都市開発、娯楽文化……あらゆるものを視野に
日本が6年後に確実に国際的に置かれている状況や、
Twitterやニコニコ動画などのネットサービスを子供の頃から使ってきた”デジタルネイティブ世代”の社会的台頭…、を踏まえて、全く新しい、本当に私たちが求める「2020年”から”始まる日本の将来ビジョン」を
世の中へと発信し、問いかける特集。

今号のプロジェクトメンバーは----
宇野常寛（批評・本誌編集長）／猪子寿之（チームラボ代表）／水口哲也（クリエイター・プロデューサー）／井上明人（ゲーム研究者）／門脇耕三（建築家）／南後由和（社会学者）／濱野智史（社会学者）／速水健朗（ライター・編集者）／吉田尚記（ニッポン放送アナウンサー）／中川大地（文筆家・編集者） ほか

【巻頭鼎談】オリンピックをハッキングせよ！〜ぼくらが望む2020年〜猪子寿之×乙武洋匡×宇野常寛

・【Aパート：Alternatives編】オルタナティブ・オリンピック／パラリンピック・プロジェクト
このパートの前半部ではオリンピックの開会式やその競技中継のあり方を提言。
チームラボの猪子寿之を担当者に迎えて、ソーシャルメディアやバーチャルリアリティ、
拡張現実技術などの様々な新しいメディア装置を存分に活かしたオリンピック中継を構想。
人とスポーツとの新たな関係を構想すべく、有森裕子や古田敦也、岡田武史といったスポーツ界のリーダーたちを訪ね、
2020年に向けての課題と今後の日本スポーツのあり方を構想する特別インタビューも収録。
後半部ではパラリンピックの特集を組み、乙武洋匡や現役アスリートたち、
ゲーム研究者の井上明人や先述の稲見昌彦らを中心に、サイボーグ技術やゲームデザインの知見を結集し新たなパラリンピックのあり方についても構想する。

・【Bパート：Blueprint編】2020年の東京の青写真、「都市開発」について
東京オリンピック開催にともなう、東京の再開発について。
「湾岸新都心の開発」計画をふまえて、上海やシンガポールにおける都市開発事情などをアカデミアの研究者らとともにリサーチして、可能な限り精度の高い未来の東京の姿を描き出したうえで、
新しい日本人の生活スタイルや都市計画のあり方を考える。

・【Cパート：Cultural Festival編】2020年の夏休み 〜オリンピック連動の「文化」祭計画〜
「裏オリンピック」と題して、日本のサブカルチャーを発信する祭典を提案。
きゃりーぱみゅぱみゅのプロデューサー・増田セバスチャン、そして初音ミクの生みの親であるクリプトンの伊藤社長やグッドスマイルカンパニーの安藝社長などに企画案を依頼。

・【Dパート：Destruction編】セキュリティ・シミュレーション「オリンピック破壊計画」
「東京オリンピックを破壊する作戦」をリサーチすることで、都市やオリンピック計画が抱える課題を洗い出して、セキュリティ意識を喚起する。
ジャーナリストの速水健朗とニッポン放送アナウンサーの吉田尚記という、戦後サブカルチャーに詳しい二人のスペシャリストを迎え、オリンピックのテロ計画を構想しての対策を考える。

B5判変型 272pages