大型書店や地元に根付いた老舗書店に加えて古書店、さらにはセレククト書店が混在し、
しかも歩いて回れる仙台の書店状況を知って楽しんでもらえたら、
という市内の書店「火星の庭」店主のつぶやきが賛同者をえて、
市民文化事業団との共催で誕生した仙台書店ガイド。
当初は国内外に向けた実用的ガイドブックを想定していたものの、
2020年のコロナ禍で、人々の移動が制限されたことから、
地元の人が、身近な書店を再発見するようにと編集方針がかわり、
読み物のようなガイドブックになりました。
前半は仙台にゆかりの深い、作家や音楽家、写真家たちのエッセイ5本。
後半は、中心部を3つのエリアにわけて、市内の書店主3名が、自身の店を起点に
歩きながらお客さんを案内するように、町や人や書店を紹介します。
三者三様の語り口やテンポがあり、ヴァーチャルな町歩きを楽しめます。
また書店や人物、町の日常を捉えた、写真によって臨場感や町の息遣いが伝わってきます。
ほかにも、図書館や文学館、文学碑、少し足を伸ばした郊外のお店も紹介。
巻末のポケットには、紹介したお店やモニュメントなどをまとめたオリジナルマップがおさまっており、
このマップだけ取り出して持ち歩くことができます。
志賀真理子さんの撮りおろし写真、工藤夏海さんの挿絵、
そしてデザイン、地図、加工….と、すべて仙台在住、ゆかりの人たちによって作られています。
(例えば、こんなDIY加工場ー
analogーがあるなんて、仙台、自主制作出版者にも嬉しいじゃありませんか!?)
本や書店が、様々な人たちに支えられて成り立ち、
書店がまた人々を結びつけ、地域を作る様子を象徴するようです。
また書店を切り口にした2020〜21年という特別な時代の仙台の記録にもなりそうです。
目次
エッセイ 本屋とわたし
佐伯一麦「いつもそばに本屋が」
柳美里「言葉の前に椅子を」
小林直之「本屋さんに通う」
友部正人「ニューヨークにある小さな本屋の話」
志賀理江子「彼らの小さな本屋」
写真×ドローイング
志賀理江子×工藤夏美|本屋の夢
仙台市街地本屋ガイド
仙台駅−五橋(土方正志)
東二番丁−東仙台(前野久美子)
一番丁四丁目−北山(菅原匠子)
A5変型コデックス装80pages