仲俣 暁生「失われた「文学」を求めて【文芸時評編】」

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2,970円(税込)
定価:2,970円(税込)

DETAIL

2016年から2020年夏までの文芸時評を時系列に沿って再録してもの。

3.11以後、それまでのように小説を素朴に読めなくなった著者が、
(あるいは、少なからぬ作家たちもそれまでのように小説を書けなくなった)、
再び書かれたものの中に切実な言葉を探すべく、
国内外の小説、評論、漫画などの中から、
その時もっとも重要に思えた作品を言葉を尽くして論評したもの。
というわけで一作一作をとりあげているが、通して読むことで、
2010年代からコロナ時代幕開けまでの、社会や文学、世界と日本がみえてきます。

「日本の文芸シーンは現在、まごうことなく沈滞している。
だがその沈滞は、小説家が書くべきことを失ったからではない。
書くべきことがありながら、そこから目を背けているか、
書きうる技能あるいは勇気が欠如しているからだ――」

政治を語る言葉を失った日本の小説、震災後文学が崩壊した「美しい顔」盗用問題、
ポストモダン文学から「ド文学」への退行、新自由主義による〈鬱〉からの〈恢復〉、
「新潮45」休刊事件、中国SFの台頭、そしてコロナの時代の文学とは……。
批評なき時代に「文学」の未来は存在するのか? 取り上げた小説は50作品以上! 
小説の「現在」と格闘し続けた45カ月! 
2010年代を俯瞰し2020年代の潮流を先読みする最強の文芸時評かつ小説ガイド!


▼政治を語る言葉を失った日本の小説
  村田沙耶香『コンビニ人間』
  崔実『ジニのパズル』
▼単なる政権批判や反原発小説ではなく
  黒川創『岩場の上から』
▼「ゾンビ」ではなく「武者」を!
  古川日出男:訳『平家物語』
  羽田圭介『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』
▼孤軍奮闘で書き継いだ「新しい政治小説」
  星野智幸『星野智幸コレクション』全四巻
▼「読む人」「書く人」「作る人」のトライアングル
  長谷川郁夫『編集者 漱石』
  渡部直己『日本批評大全』
▼現代におけるフォークロア
  村上春樹『騎士団長殺し』
▼ポストモダンの行き止まりとしての「ド文学」
  又吉直樹『劇場』
▼「中核市のリアリズム」が出会った王朝物語
  佐藤正午『月の満ち欠け』
▼日本を迂回して世界文学へ
  東山彰良『僕が殺した人と僕を殺した人』
▼「震災後」の現代文学の見取り図
  限界研:編『東日本大震災後文学論』
  「文藝」二〇一七年・秋季号
▼自分自身の場所を確保せよ
  レベッカ・ソルニット『ウォークス――歩くことの精神史』
▼迎撃に失敗した昭和・平成の男たち
  橋本治『草薙の剣』
▼現代文学の次の「特異点」とは?
  上田岳弘『キュー』
▼「パラフィクション」と「ハード純文学」の間に
  佐々木敦『筒井康隆入門』
  小谷野敦『純文学とは何か』
▼プロテスタンティズムの精神
  松家仁之『光の犬』
▼ポストモダニストの「偽装転向宣言」か?
  いとうせいこう『小説禁止令に賛同する』
▼行き場を失った者たちが語る絶望の物語
  星野智幸『焰』
▼文芸が存在するかぎり終わることはない戦い
  古川日出男『ミライミライ』
▼現代中国のスペキュレイティブ・フィクション
  ケン・リュウ:編『折りたたみ北京――現代中国SFアンソロジー』
▼不可視の難民たちと連帯するために
  カロリン・エムケ『憎しみに抗って──不純なものへの賛歌』
  多和田葉子『地球にちりばめられて』
▼小説にとっての勇気とフェアネス
  古谷田奈月『無限の玄』
▼「震災(後)文学」という枠組みの崩壊
  北条裕子『美しい顔』
▼批評が成り立つ場としての「うたげ」
  三浦雅士『孤独の発明――または言語の政治学』
▼マンガによる「漫画世代」への鎮魂
  山本直樹『レッド 1969〜1972』
▼「政治と文学」はいま、いかに語りうるか
  赤坂真理『箱の中の天皇』
▼「想像力」よりも「小説的思考力」を
  「新潮」二〇一八年一二月号・特集「差別と想像力」
▼ポスト冷戦時代に育った世代の想像力
  ミロスラフ・ペンコフ『西欧の東』
▼韓国にとっての「戦後」
  ハン・ガン『すべての、白いものたちの』
▼批評家が実作に手を染める時代とは
  陣野俊史『泥海』
▼新自由主義からの生還と再起
  マーク・フィッシャー『資本主義リアリズム──「この道しかない」のか?』
  絲山秋子『夢も見ずに眠った。』
▼元号や天皇(制)の無意味を語るために
  「文藝」二〇一九年夏季号
  古谷田奈月『神前酔狂宴』
▼「改元の後、改元の前」に芥川の幽霊が語ること
  デイヴィッド・ピース『Xと云う患者――龍之介幻想』
▼空疎な「日本語文学」論から遠く離れて
  リービ英雄『バイリンガル・エキサイトメント』
▼中国大河SFは人類滅亡と革命の夢を見る
  劉慈欣『三体』
▼没後二〇年、「妖刀」は甦ったか?
  平山周吉『江藤淳は甦える』
▼神町トリロジーの「意外」ではない結末
  阿部和重『Orga(ni)sm』
▼タブーなき世界に「愛」は可能か
  ミシェル・ウエルベック『セロトニン』
▼森の「林冠」は人類の精神をも解放する
  リチャード・パワーズ『オーバーストーリー』
▼寡作な天才SF作家、一七年ぶりの新作
  テッド・チャン『息吹』
▼受け手のないところに打たれたノックを拾う
  加藤典洋『大きな字で書くこと』
▼友の魂に呼びかける言葉
  崔実『pray human』
▼「当事者研究」が投げかける問い
  長島有里枝『「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ』
▼政治と文学の乖離を示すシミュレーション小説
  李龍徳『あなたが私を竹槍で突き殺す前に』
▼「コロナ後文学」はまだ早い
  パオロ・ジョルダーノ『コロナの時代の僕ら』
  テジュ・コール『苦悩の街』
▼国を失ったHirukoたちが〈産み〉だすもの
  多和田葉子『星に仄めかされて』

四六判344pages つかだま書房

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